Iさんと向かい合ってる席で、
「もみじさん、今日はお話ししたいことがあります」
と言われ、心臓がドキドキする私。
予想通りの告白
やっぱりきた・・
そう心の中でつぶやきました。
Iさんの真剣な面持ちに、思わず私の背筋が伸びます。
「もみじさん、今日はお話ししたいことがあります」
と言われ
「はい・・」
とか細い声で返事をする私。
そして
「僕はもみじさんと価値観が似ていると思っています。だから気が合うと思います」
ドキ
ドキ
「僕は、もみじさんとお付き合いしたいです。」
Iさんの真剣な表情を目の前にして、言葉が出ません。
いや、正確に言うと、なんて言っていいのかわかりません。
もちろん、好意を持ってくれていることは有難いのです。
ですが、Iさんから告白された瞬間、私の頭の中をよぎったのは、
Jくん、、
数秒間、沈黙が続きます。
返事をしなきゃ・・
告白の返事は無意識に〇○○○○と
返事をしなきゃ・・このまま黙り続けるわけにはいきません。
私は意を決して言いました。
「お気持ちは有難いのですが・・ごめんなさい」
なんと、お断りをしてしまいました。
これには、私自身でも驚きました。自分で断っておきながら驚くって、そんななのないでしょ?って思われるかもしれませんね。
本当は私の中では
「まだIさんのことがよくわからないので、もう少し時間をもらえませんか?」
って、告白の返事を先延ばしにしてもらおうと考えていたのです。
でも、時間が欲しいって言おうとした瞬間に、
Iさんの時間を無駄にしちゃいけない
ってとっさに思ったのです。
だってここで告白の返事を延ばしてしまったら、Iさんを縛りつけることになります。
私からの返事を期待して、他の女性と会うこともなく、ただ待つだけの日々。
でも待つだけ待って、私が結局お断りをしてしまったら、それまでの期間、時間の無駄になっちゃいますよね。
もし今お断りすれば、また明日から婚活ができるのに、時間を有効活用できるのに、私のわがままのためにIさんの時間を奪うなんて、そんなことできないって思いました。
だから無意識に
「ごめんなさい」
って言葉が出てしまったのかもしれません。
Iさんは私の返事に対し
「そうですか。わかりました」
と言って、お断りの理由を聞かれることはありませんでした。
Iさんとの別れ
お店を出て、最後にIさんにお礼をいいます。
「今日は素敵なお店を選んでくれて、ありがとうございました。お料理もおいしかったです。
それと、、Iさんと一緒にいれたことも、すごく楽しかったです。」
その言葉に対し、Iさんは
「僕も、もみじさんと一緒に過ごした時間は楽しかったです。今まで本当にありがとうございました。」
と言ってくれました。
夜でしたので辺りが暗く、Iさんの表情はよくわかりません。
でもどこか寂しそうな雰囲気にも見えました。
私はIさんに深々と頭を下げ、その場をあとにしました。
Iさんはとても優しい人です。
Iさんとお付き合いすれば、結婚すれば、幸せになっていたかもしれません。
でも私は自らの手で、その幸せを手放してしまいました。
これでよかったのかどうか、わかりません。
正直、惜しいことしたな・・って気持ちもあります。
でも、それ以上にIさんの時間を、気持ちを奪いたくなかったのです。
そして、心の中ではJくん、、とつぶやく私がいました。
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